住宅ローンを組むとき、「変動金利と固定金利、どっちを選べばいいの?」と迷う方は多いのではないでしょうか。
「変動は将来が不安、でも固定は返済額が高い」というジレンマの中で、なんとなく好みや感覚で決めてしまう方も少なくありません。
ただ、今の金利水準と建築費の高さを踏まえると、実はこの選択は好みだけで決められるものではなくなってきています。
私は元銀行員で融資・審査を担当していた立場であり、今まさに自分自身も、変動金利を選ぶ方向で住宅ローンを検討している当事者です。
この記事では、金利タイプを「好み」ではなく、ご自身の収入と検討している物件の価格という現実から考える方法をお伝えします。
読み終える頃には、自分にとって現実的な選択肢がどちらなのか、見えてくるはずです。
結論から言うと、大切なのは金利の好みではなく、無理なく返せるかどうかという視点です。
そもそも、家を建てると決めた方に向けて
経済合理性だけを考えれば、住宅を持たずに賃貸で暮らすという選択肢もあります(賃貸か持ち家かというテーマは、また別の記事で詳しくお伝えしたいと思います)。
ただ、地方で子育てをしている世帯の場合、条件に合うファミリー向けの賃貸物件が少なく、新築の戸建てが現実的な選択肢になることも多いと感じています。
この記事では、すでに家を建てると決めた方に向けて、住宅ローンの金利タイプの考え方をお伝えします。
変動金利と固定金利の基本
変動金利とは:市場金利に応じて変わるタイプ
変動金利とは、返済期間中に、市場の金利動向に応じて適用される金利が変わるタイプの住宅ローンです。
金利が低い時期は、その分毎月の返済額を抑えられますが、将来市場金利が上がれば、返済額も増える可能性があります。
固定金利とは:返済中ずっと金利が変わらないタイプ
一方、固定金利は、契約時に決めた金利が、返済が終わるまでずっと変わらないタイプです。
将来金利がどう動いても返済額が変わらないため、返済計画を立てやすいという安心感があります。
その分、変動金利に比べると、契約時点での金利は高めに設定されているのが一般的です。
2026年時点の金利感
2026年時点では、固定金利は3%を超える水準、変動金利はそれよりも低め(1%前後など)の水準で推移しています(金利は金融機関や時期によって異なります)。
この金利差は、月々の返済額に大きく影響する規模のものです。次の章で、この金利差が実際の返済にどう関わってくるかをお伝えします。
今は「好み」で選べる時代ではない
固定3%と変動の金利差は、月々の返済に大きく響く
2026年時点のように、固定金利が3%を超え、変動金利がそれよりも低い水準にある状況では、同じ借入額でも、どちらを選ぶかによって毎月の返済額に大きな差が生まれます。
金利差が1%を超えるような場面では、月々数万円単位の違いになることも珍しくありません。
建築費高騰の今、固定3%だと返済がかなり重くなりやすい
さらに、近年の建築費の高騰により、住宅ローンの借入額自体が大きくなりやすい状況が重なっています。
借入額が大きいほど、金利差による返済額への影響も大きくなるため、固定金利3%超で無理なく返済していける水準に収めようとすると、借入額や住宅の規模をかなり抑える必要が出てくることがあります。
現実的な選択肢は、変動になりやすいという実感
こうした背景から、無理なく新築を建てたいと考える多くの方にとって、現実的に選びやすい金利タイプは、変動金利に寄りやすいというのが、今の状況を見た私の実感です。
ただし、これは「変動を選ぶべき」という話ではありません。
次の章で、誰にどちらが向いているかを整理し、そのあとで変動金利を選ぶ際に欠かせないリスクへの備えについてもお伝えします。
誰に変動、誰に固定が向くか
変動が向きやすい人
無理なく新築を建てたいと考えている、多くの子育て世代の方にとっては、変動金利の方が、月々の返済額を現実的な範囲に収めやすい傾向があります。
固定金利では返済負担が重くなりすぎる場合、変動金利が現実的な選択肢になりやすいと感じています。
固定が向きやすい人
固定金利が向きやすいのは、大きく分けて2つのタイプの方です。
一つは、収入が高く、固定金利の高めの返済額にも十分耐えられる方。
もう一つは、収入がそれほど高くなくても、中古住宅など、住宅価格そのものを抑えられ、借入額が小さくなる方です。
借入額が小さければ、固定金利であっても、月々の返済額はそれほど重くなりません。
上級者の戦略:あえて変動で組み、状況を見て繰上返済する
収入に特に余裕がある方の中には、あえて変動金利で借り入れ、「住宅ローン控除」(住宅ローンを組んだ場合に、一定期間、所得税や住民税が軽減される制度のことです)の適用期間が終わったタイミングや、金利が実際に上がってきたタイミングで、まとまった資金を使って繰上返済(ローンの残高の一部または全部を前倒しで返済すること)を行う、という戦略を取る方もいます。
これは、資金的な余力があってこそ取れる選択肢です。
変動を選ぶなら、リスク対策とセットで
変動金利には、将来返済額が増えるリスクがある
ここは、正直にお伝えしておきたいところです。
変動金利は、契約時点では低い金利で借りられますが、将来、市場金利が上がれば、それに応じて返済額も増える可能性があります。
「今の金利水準では変動の方が現実的」という話は、あくまで契約時点での話であり、将来にわたって今の低さが続くとは限りません。
耐えられる範囲で借りる、備えを持っておく
変動金利を選ぶのであれば、将来ある程度金利が上がったとしても、家計が耐えられる範囲の借入額に収めておくことが大切です。
あわせて、繰上返済や貯蓄を通じて、金利上昇に備えておくことも重要な前提になります。
住宅ローンの予算を決める際には、将来金利が上がることや物価が上昇する可能性を織り込んだストレスをかけた返済シミュレーションをしておくことをおすすめします。

ギリギリの借入は避けたい
「今の金利なら返せるから」という理由だけで、家計にまったく余裕のないギリギリの借入額まで借りてしまうと、金利が少し上がっただけで返済が行き詰まってしまう可能性があります。
変動金利が現実的な選択肢になりやすいとお伝えしましたが、それは「無防備に選んでよい」という意味ではない、という点は強調しておきたいと思います。
私が変動を選ぶ理由
固定3%では、無理なく新築を建てるのが難しいと感じた
実は私自身、変動金利を選ぶ方向で検討しています。
理由の一つは、固定金利3%超で試算すると、私たちが検討している借入額では、月々の返済がかなり重くなり、無理なく新築を建てるのが難しいと感じたためです。
転勤がなく安定した収入の見込みがあり、投資の知識もある
もう一つの理由は、私自身の状況にあります。
今の職場は転勤がなく、今後も安定した収入が見込めると考えていること、そして投資について一定の知識や経験があることから、金利上昇のリスクをある程度取れる立場にあると判断しています。
これは、私の状況があってこその選択です
ここは繰り返しお伝えしておきたいのですが、この判断は、あくまで私自身の状況(転勤のなさ、収入の安定性、投資の知識など)があってこその選択です。
同じように変動金利を選ぶことが、すべての方にとって適しているとは限りません。
収入や借入額によっては、固定金利を選んで、返済額が変わらない安心感を優先する方が向いている場合も十分にあります。
元銀行員として、変動金利のリスクを理解した上で、自分はこう考えて選んだ、という一つの実例として参考にしていただければと思います。
まとめ
変動金利と固定金利、どちらを選ぶかは、好みで決めるものではなく、ご自身の収入と、検討している物件の価格という現実から考えることが大切です。
2026年時点の金利水準と建築費の高さを踏まえると、無理なく新築を建てたい多くの方にとって、変動金利が現実的な選択肢になりやすい状況ではありますが、変動金利を選ぶ場合は、将来の金利上昇に備えた借入額や資金計画がセットで欠かせません。
私自身の選択はあくまで一つの例であり、ご自身の収入や物件価格、将来の見通しに応じて、それぞれに合った金利タイプを選んでいただければと思います。
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