住宅ローンの事前審査とは?元銀行員が解説する流れ

家づくり記録

住宅ローンを検討し始めると、まず出会うのが「事前審査」という言葉です。

「事前審査って何をするの?」「何を提出すればいいの?」「落ちたらどうしよう」と、初めての住宅購入では不安に感じる方が多いのではないでしょうか。

事前審査の中身がよく分からないまま臨むと、必要以上に緊張してしまったり、逆に準備不足で慌ててしまったりすることがあります。

私は銀行で住宅ローンの審査を担当していた経験があり、まさに「審査する側」にいた人間です。

この記事では、事前審査の基本的な流れや必要書類に加えて、審査する側が実際に見ているポイント、そして今まさに自分自身が受ける側として事前審査を経験した実感もあわせてお伝えします。

読み終える頃には、事前審査に対する漠然とした不安が減り、落ち着いて臨めるようになっているはずです。

事前審査は、正しく理解すれば、決して怖いものではありません。

住宅ローンの事前審査とは

本審査の前に行う、簡易的な審査のこと

住宅ローンの「事前審査」(仮審査と呼ばれることもあります)とは、正式な契約の手続きに入る前段階で、金融機関(ネット銀行や地方銀行など)が「この人に、おおよそいくらまで貸せそうか」を短期間で判断する簡易的な審査のことです。

物件を購入する際、多くの場合、売買契約を結ぶ前や、住宅ローンの正式な申し込み(本審査)の前に、この事前審査を通しておく必要があります。

事前審査と本審査、何が違うのか

事前審査は、提出された情報をもとに、比較的短期間で「おおよそ貸せそうかどうか」を判断するものです。

一方、本審査は、事前審査よりも詳細な書類をもとに、時間をかけて正式に貸し出しの可否を判断する手続きになります。

事前審査は言わば「仮の合格」、本審査は「正式な合格」というイメージで捉えていただくと分かりやすいと思います。

事前審査で分かること

事前審査を受けることで、「希望する金額を、この金融機関で借りられそうかどうか」というおおまかな見通しが分かります。

物件探しの段階で、自分がどのくらいの金額まで借りられそうかを把握しておくことは、無理のない予算で物件を検討するうえでも役に立ちます。

事前審査の流れ・必要書類・日数

申し込みから結果までの一般的な流れ

事前審査は、多くの場合、オンラインまたは窓口で申込書に必要事項を記入し、必要書類とあわせて提出するところから始まります。

金融機関側で内容を確認したあと、結果が通知されるという流れが一般的です(2026年時点、流れの詳細は金融機関によって異なります)。

一般的に求められる書類

事前審査で求められる書類は金融機関によって異なりますが、一般的には、本人確認書類(運転免許証など)、収入が分かる書類(源泉徴収票や給与明細など)、購入予定の物件に関する資料などが求められることが多いです。

正式な契約時に必要となる書類に比べると、比較的少ない書類で申し込める場合が多いのも、事前審査の特徴です。

結果が出るまでの日数の目安

事前審査の結果が出るまでの日数は、金融機関によって差がありますが、早ければ即日、通常は数日程度で結果が分かることが多いようです(2026年時点、あくまで目安であり、金融機関や申込内容によって異なります)。

物件の購入スケジュールがある場合は、余裕を持って早めに申し込んでおくと安心です。

審査する側は、何を見ているか

審査する側が重視しているポイント

ここからは、審査する側だった経験を踏まえてお伝えします。

事前審査では、申込者の年収、勤務先や勤続年数、他に借入があるかどうか、そしてこれまでの返済状況などを示す「信用情報」(クレジットカードやローンなどの利用・返済の履歴を記録した情報)といった項目を総合的に確認します。

これらの情報から、「無理なく返済を続けられそうか」を判断していく、というのが実務の基本的な流れです。

「事前審査が通っても本審査で覆ることがある」理由

意外に思われるかもしれませんが、事前審査に通っても、本審査で結果が変わることがあります。

これは、事前審査の時点では申込者の自己申告や簡易的な情報をもとに判断しているのに対し、本審査ではより詳細な書類や、公的な記録に基づく信用情報などを、あらためて確認するためです。

事前審査後に新たな借入をした、勤務先を変えた、といった状況の変化があった場合も、本審査の結果に影響することがあります。

事前審査が通ったからといって、契約が完全に確定したわけではない、という点は知っておいていただきたいところです。

落ちるとしたら、どんな理由が多いか

一般的に、事前審査で結果が厳しくなりやすい理由としては、年収に対して他の借入(自動車ローンやカードローンなど)が多い、勤続年数が短い、返済の遅延など信用情報に影響する記録がある、といったことが挙げられます。

ただし、判断基準は金融機関によって異なるため、ある金融機関で難しかった場合でも、別の金融機関では違う結果になることもあります。


特に見落とされやすいのが、スマートフォンの分割払いです。スマホ本体を分割で購入している場合、それは「割賦(かっぷ)契約(=分割払いの契約)」という一種の借入にあたります。

普段は借金をしている感覚がないため意識しにくいのですが、この支払いが遅れていると、信用情報に記録が残り、住宅ローンの審査に影響することがあります。

「ローンなんて組んでいない」と思っていても、スマホの分割払いの遅れが原因になっているケースは意外と多いので、心当たりのある方は、事前審査の前に支払い状況を確認しておくことをおすすめします。

事前審査は、複数の銀行に出してよい

1行だけでなく、複数出して比較するのがおすすめ

ここからは、私の考えとしてお伝えしたいことです。

事前審査は、1つの金融機関だけに絞る必要はなく、複数の金融機関に申し込んで比較することをおすすめします。

金融機関によって、金利や条件はもちろん、審査の基準そのものにも違いがあるため、複数の結果を見比べることで、自分に合った条件を見つけやすくなります。

「複数出すと信用情報に傷がつくのでは」という不安について

「事前審査をたくさん出すと、信用情報に傷がつくのではないか」「やりすぎは良くないのではないか」と心配される方もいらっしゃいます。

この点について、元銀行員としての考えをお伝えすると、住宅購入を検討する過程で、常識的な範囲(数行程度)の事前審査を申し込むこと自体は、過度に心配しすぎる必要はないと考えています。

ただし、信用情報の扱いや、審査申し込みの履歴がどう影響するかについての考え方は金融機関によって異なる部分もあるため、気になる場合は、各金融機関やご自身の状況に応じて確認しておくと、より安心できると思います。

比較には、住宅ローン比較サービスを使うと効率的

複数の金融機関を比較する際は、住宅ローン比較サービスを使うと、条件を効率的に確認できます。

比較はあくまで、ご自身に合った条件を見つけるための手段です。

金利の数字だけでなく、審査の通りやすさや対応の柔軟さなども含めて、総合的に検討していただければと思います。

審査する側だった私が、受ける側になって感じたこと

今まさに、事前審査を受けた当事者です

実は私自身、注文住宅を建てるにあたって、複数の金融機関に事前審査を申し込み、無事に通過しました。

申し込んだ金額は3千万円台後半で、審査する側にいた経験があるからこそ、必要書類の準備や申込内容の整理は、比較的スムーズに進められたと感じています。

審査する側だった自分でも、受ける側になると緊張するものです

ただ、正直に言うと、審査する側にいた経験があっても、いざ自分が審査される立場になると、結果が出るまでは少し緊張しました。

「基準を満たしているはず」と頭では分かっていても、実際に自分の状況が数字として審査される、という経験は、これまで審査する側で見てきたのとはまた違う感覚がありました。

仕組みを知っているからこそ冷静に準備できた部分と、それでも当事者になると緊張する部分の両方があった、というのが正直な実感です。

まとめ

住宅ローンの事前審査は、住宅購入に向けた最初の一歩です。事前審査と本審査の違い、必要書類や日数の目安を知っておけば、必要以上に不安になることはありません。

また、事前審査は1つの金融機関だけに絞らず、複数の金融機関に申し込んで比較することで、自分に合った条件を見つけやすくなります。

落ち着いて準備を進め、ご自身に合った住宅ローン選びにつなげていただければと思います。

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