住宅ローン控除で実際いくら戻るのか、気になっている方は多いのではないでしょうか。
「年末残高×0.7%」という計算式を見かけることはあっても、その金額がそのまま戻ってくるとは限りません。
実際に戻ってくるのは、自分が納めている税金の範囲までだからです。
元銀行員として融資や審査に携わってきた立場から、そして自分自身も注文住宅の当事者として実際に試算してみた立場から、この記事では控除の仕組みと、自分の目安を確かめる方法をお伝えします。
読み終える頃には、ご自身の場合の大まかな目安がつかめるはずです。まずは、計算上の額と実際に戻る額を分けて考えることから始めましょう。
計算上の控除額は「残高×0.7%」
仕組みと、借入残高別の早見表
住宅ローン控除の基本となる計算式は、年末時点のローン残高に0.7%をかけるというものです。
借入残高別に、計算上の控除額の目安を単純計算でまとめると、以下のようになります(2026年時点)。
| 年末の借入残高 | 計算上の控除額(年間) |
|---|---|
| 2,000万円 | 14万円 |
| 2,500万円 | 17.5万円 |
| 3,000万円 | 21万円 |
| 3,500万円 | 24.5万円 |
| 4,000万円 | 28万円 |
※これはあくまで「残高×0.7%」の単純計算です。
借入限度額を超える部分の残高は対象外になりますし、実際に戻る額は納めている税金の額によって変わります。
この表の数字がそのまま戻ってくるわけではない、という点に注意してください。
借入限度額までが対象
控除の対象になるのは、借入限度額までの残高です。
この限度額は、住宅の省エネ性能や、子育て世帯・若者夫婦世帯かどうかによって変わってきます。
具体的な限度額は住宅のランクごとに細かく分かれているため、正確な額は国税庁・国土交通省の公式情報で確認していただくのが確実です。
実際に戻るのは「納めた税金の範囲」まで
所得税→住民税という流れ
控除は、まず所得税から差し引かれます。
所得税だけで控除額を使い切れない場合、引ききれなかった分は、翌年度の住民税からも差し引かれます。
ただし、住民税から差し引ける金額には上限があり、「課税総所得金額等の5%、最高9万7,500円」までと決められています。
つまり実際に税金が減るのは、「所得税額+住民税からの上乗せ分(最高9.75万円)」までということになります。納めた税金を超えて戻ることはありません。
年収400〜600万円台では、使い切れないことがある
年収400〜600万円台の子育て世帯の場合、扶養家族の数や社会保険料、その他の控除の状況によって、納めている所得税・住民税の額には差があります。
そのため、「残高×0.7%」で計算した控除額を、税金の範囲内でちょうど使い切れる方もいれば、使い切れずに一部が残ってしまう方もいます。
「借りられる額と返せる額が違う」のと同じように、「計算上の控除額と実際に戻る額」も、分けて考える必要があります。
単独名義とペアローンの違い
ローンの組み方によっても、控除の受け方は変わります。
ペアローンや連帯債務で住宅ローンを組んでいる場合、それぞれの名義の人が、自分自身の税金の範囲内で控除を受ける仕組みです。
一方、単独名義でローンを組んでいる場合は、名義人本人の税金だけが対象になり、配偶者の税金は控除に使うことができません。
自分の目安は源泉徴収票で確かめられる
源泉徴収票の4つの欄を使う
自分の場合、どのくらい戻る可能性があるかは、源泉徴収票を使っておおよその目安を確かめることができます。
まず、「給与所得控除後の金額」から「所得控除の額の合計額」を引いた金額が、課税される所得の目安になります。
そして、「源泉徴収税額」の欄が、その年のおおよその所得税額です。
計算の手順
住民税からの上乗せ分は、先ほどの課税される所得の目安に5%をかけた金額(上限9万7,500円)で、おおまかに見積もることができます。「
源泉徴収税額」と、この住民税からの上乗せ分を足した金額が、戻る額の上限の目安です。
この上限の目安と、「年末残高×0.7%(借入限度額まで)」の計算上の控除額を比べてみてください。
上限の目安の方が大きければ、計算上の額をほぼ使い切れる可能性が高く、小さければ、使い切れない可能性があるということになります。
あくまで目安であることに注意
ここで確かめられるのは、あくまでおおよその目安です。
控除が始まるのは、実際に入居した年からで、その年の収入や扶養の状況によって金額は変わってきます。
正確な内容は、税務署や国税庁の公式情報で確認するようにしてください。
2028年以降の入居は要注意(新築を考えている人へ)
入居時期と建築確認の時期で、控除が変わる
これから新築を考えている方に、特に注意していただきたいのが入居時期です。
最低限の省エネ基準を満たす「省エネ基準適合住宅」の新築の場合、2026・2027年に入居するのであれば、子育て世帯は借入限度額3,000万円・控除期間13年の対象になります。
一方、入居が2028年以降になる場合は扱いが変わります。
建築確認が2027年12月31日以前、または登記上の建築日が2028年6月30日以前であれば、借入限度額2,000万円・控除期間10年(子育て世帯の上乗せなし)となり、どちらにも当てはまらない場合は控除の対象外となります。
スケジュールと住宅の性能を、早めに確認しておく
このように、入居時期がわずかにずれるだけで、控除の内容が大きく変わる可能性があります。
これから新築を建てる方は、建築スケジュールの見通しと、自分の住宅がどの省エネ性能に該当するのかを、ハウスメーカーや工務店に早めに確認しておくと安心だと思います。
私の場合
自分の源泉徴収票で、実際に確かめてみた
私自身も、先ほどお伝えした方法で、自分の源泉徴収票を使って確かめてみました。
年収500万円台・単独名義という私の場合、計算上の控除額をほぼ使い切れる見込みであることが分かりました。
ただし、その余裕はわずかで、ギリギリのラインだという印象です。今後、iDeCoの掛金を増やすなど、所得控除が増える判断をすると、使い切れなくなる可能性もあると感じています。
入居時期にも、注意している
私の家は、最低限の省エネ基準を満たす住宅になる見込みです。
そのため、入居が2028年にずれ込んでしまうと、控除の内容が大きく変わる(場合によっては対象外になる)可能性があります。
建築のスケジュールが、控除額を左右する要素のひとつになると感じ、気に留めています。
まとめ
住宅ローン控除は、「年末残高×0.7%」という計算上の額と、実際に戻ってくる額が異なる場合があります。
実際に戻るのは、自分が納めている所得税・住民税の範囲までです。源泉徴収票を使えば、自分の場合のおおよその目安を確かめることができます。
また、これから新築を建てる方は、入居時期や住宅の省エネ性能によって控除の内容が変わる点にも注意が必要です。
正確な情報は、国税庁・国土交通省の公式情報で確認するようにしてください。
▼あわせて読みたい



コメント