年収500万の住宅ローン、無理なく返せる額を元銀行員が解説

借入金の判断

額面年収500万円台で、住宅ローンをいくら借りるか悩んでいる方に向けてこの記事を書いています。

「年収500万なら、いくらまで無理なく返せるのか」と悩む方は多いのではないでしょうか。

ネットでよく見る「年収の5〜7倍」という目安をそのまま信じてしまうと、実際の家計とズレが生じることがあります。

額面と手取りの差、教育費、金利の動きなど、目安の数字だけでは見えない要素があるためです。

私は銀行で住宅ローンの審査・提案を担当していた元銀行員で、まさに額面年収500万円という、この記事の読者と同じ立場で家づくりを進めている当事者でもあります。

この記事では、年収500万円の「借りられる額」と「無理なく返せる額」の違い、そして今の金利状況を踏まえた考え方をお伝えします。

読み終える頃には、世間の目安ではなく、ご自身の家計に合った借入額の考え方が見えてくるはずです。

大切なのは、年収500万という数字そのものより、その先にある「手取り」と「暮らし」から逆算する視点だと思っています。

年収500万円の「借りられる額」の目安

まず、世間の目安で見てみる

年収500万円の場合、「年収の5〜7倍」という世間の目安に当てはめると、2,500万〜3,500万円程度が借入額のイメージになります(2026年8月時点)。

看板記事でもお伝えした通り、これは平均的な借入額の傾向から導かれる、あくまでざっくりとした目安です。

ただ、実際に金融機関(ネット銀行や地方銀行など)の審査を受けると、この目安を上回る金額まで「借りられる」と判断されることも珍しくありません。

審査ではさらに借りられる場合もある

住宅ローンの審査では、年収に対する年間返済額の割合を示す「返済負担率」が重視され、多くの金融機関では25〜35%程度までを上限の目安としています(2026年8月時点)。

年収500万円でこの上限に近い金額まで計算すると、世間の目安である5〜7倍を超える金額が「借りられる」と出てくることもあります。

以前の記事(住宅ローン、年収の何倍まで借りていい?元銀行員の本音)でもお伝えしましたが、銀行は基準を満たしていれば、貸せる金額に近い数字を提示してくる傾向があります。

「借りられる額」が思ったより大きく見えても、それをそのまま「無理なく返せる額」と考えないことが大切です。

「借りられる額」と「無理なく返せる額」は違う

額面と手取りには、意外と大きな差がある

ここは、私自身の実感としてお伝えしたいところです。

私は額面年収500万円ですが、手取りは400万円ほどです。額面と手取りの間には、税金や社会保険料の分だけ、100万円ほどの差が生まれています。

住宅ローンの審査で使われる返済負担率の計算は、基本的に額面年収を基準にしていますが、実際に毎月返済していくのは、この差し引かれたあとの手取り収入からです。

同じ「年収500万円」でも、額面で考えるか手取りで考えるかによって、家計の余裕感はまったく違って見えてきます。

この差を意識せずに借入額を決めてしまうと、審査上は問題なくても、実際の生活では想定より苦しく感じる、という状況につながりかねません。

教育費や生活費は、審査の計算に入っていない

返済負担率の計算には、お子さんの教育費や、日々の生活費といった支出は基本的に含まれていません。

これから教育費が本格的にかかっていく子育て世代にとっては、審査上の数字と、実際の家計の余裕とのあいだにギャップが生まれやすいポイントです。

「借りられる額」はあくまで銀行側の基準で計算された数字であり、ご自身の暮らしに合った「無理なく返せる額」とは別のものとして考える必要があります。

次の章では、年収500万円の場合、私ならどのあたりを一つの目安として考えるかをお伝えします。

年収500万円で「無理なく返せる額」の考え方

元銀行員としての一つの目安

年収500万円の場合、元銀行員という立場であれば、世間の目安である5〜7倍の上限いっぱいまでは借りず、6倍程度、金額にして3,000万円前後までを、まず検討の出発点として考えます(2026年8月時点の試算)。

これはあくまで一つの考え方であり、正解ではありませんが、額面と手取りの差や、これからの教育費を踏まえると、上限に近い金額まで借りることには慎重になったほうが良いと感じています。

借入金の目安

倍率借入額の目安(2026年8月時点)
世間の目安(年収の5〜7倍)2,500万〜3,500万円
元銀行員としての目安(年収の6倍程度まで)3,000万円前後まで

年収500万円・借入額別の月返済額

借入額月返済額(変動金利1.0%)月返済額(固定金利3.29%)
2,500万円70,571円100,304円
3,000万円84,685円120,364円
3,500万円98,799円140,425円
※2026年8月時点の試算(期間はいずれも35年。金利は今後変わる可能性があります)

「毎月いくらまで返せるか」から逆算する

借入額を考えるとき、年収から倍率で計算する方法とあわせて、「毎月いくらまでなら無理なく返済に回せるか」という手取りベースの生活実感から逆算する方法もおすすめです。

家賃として支払ってきた金額や、現在の貯蓄ペースを崩さずに払える金額を基準に、そこから借入額を逆算してみると、倍率だけで計算したときとは違う金額が見えてくることがあります。

どちらか一方だけで判断するのではなく、両方の視点を照らし合わせてみることをおすすめします。

今は「返せる額」をより慎重に考えたい局面

金利が上昇局面にある

住宅ローンの固定金利の代表格であるフラット35の金利は、2026年8月時点で3.29%となっており、現行制度になって以降で最も高い水準です(前月の2026年7月は3.14%)。

住宅ローン金利は上昇トレンドが続いており、同じ借入額であっても、これまでより毎月の返済額が重くなりやすい局面にあります。

借入額を検討するタイミングとしての注意点

金利が上昇していく局面では、「借りられる額」の計算上も返済負担が増えやすくなるため、これまで以上に「無理なく返せる額」を慎重に見極める必要があります。

今後、金利がさらに動く可能性が高いため、借入額や返済期間を検討する際は、今の金利水準だけでなく、多少上がった場合でも家計が耐えられるかどうかも、あわせて考えておくと安心です(2026年8月時点の金利動向を踏まえた考え方です)。

「無理なく返せる額」と、実際に必要な額のギャップ

注文住宅の相場と、目安の額にはギャップがある

2026年時点、注文住宅は土地込みで3,800万〜4,800万円程度が一つの相場とされています。

一方、年収500万円で「無理なく返せる額」として先ほどお伝えした3,000万円前後という目安と比べると、決して小さくないギャップがあります。

このギャップをどう埋めるかは、多くの方が実際に直面する悩みではないかと思います。

ギャップを埋めるための選択肢

ギャップを埋める方法として、頭金を厚くして借入額そのものを抑える、注文住宅にこだわらず中古住宅を検討する、建売住宅も選択肢に入れる、といった方向性が考えられます。

どれが正解ということはなく、譲れない条件とそうでない条件を家族で整理しながら、優先順位をつけて考えていくことが大切です。

元銀行員の私も、まさにこの年収で悩んでいます

額面500万・手取り400万で、3,500万円の借入を検討中です

実は私自身、額面年収500万円・手取り年収400万円という、この記事の読者と同じ立場で、住宅ローンを検討している当事者です。

妻の手取り年収は200万円ほどで、ペアローンにする予定はありませんが、返済の支えとして見込んでいます。

土地はすでに決定しており、建物についてはこれから見積もりを進めていく段階ですが、現時点ではおよそ3,500万円ほどの借入を検討しています。

事前審査は通ったのですが、審査で出た金額と、自分の生活実感として「これなら無理なく返していける」と思える金額との間に、正直まだギャップを感じています。

世帯で見れば目安の範囲、私一人で見れば7倍近く

妻の収入(約250万円)も合わせると世帯の年収はおよそ750万円で、3,500万円は世帯年収の約5倍。世帯で見れば目安の範囲に収まります。

ただ、私一人の年収500万円だけで見ると、3,500万円は年収の7倍にあたり、正直なところ迷いがあります。

元銀行員としては「年収500万なら3,000万前後まで」と考えていながら、現実には建築費の高騰で3,500万円ほどの住宅ローンを検討せざるを得ない状況です。

この”理想の目安”と”現実に必要な額”のギャップこそ、昨今のインフレ時代に家を買う難しさなのだと、当事者として痛感しています。

もともと私は、節約や投資で資産形成をしてきた人間で、貯めてきた資産以上の「借金」をすることに、これまでの自分の信念とは逆の道を選ぶのではないか、という葛藤も抱えています。

教育費がこれから本格化することも分かっていますし、投資を続けながら借入もしていくバランスをどう取るか、まだ自分の中で答えが出ていません。

「銀行の中身を知っている元銀行員なら迷わないだろう」と思われるかもしれませんが、実際には、仕組みを知っているからこそ余計に慎重になっている、というのが正直なところです。

まとめ

年収500万円の場合、世間の目安では2,500万〜3,500万円、元銀行員の立場からすると6倍程度・3,000万円前後までを一つの出発点として考えます。

ただ、これはあくまで目安であり、最終的に大切なのは、額面ではなく手取りをベースに、これからの教育費や、今の金利水準も踏まえて、ご自身の家計の実感から「無理なく返せる額」を判断することです。

世間の相場や銀行の提示額に流されず、ご自身とご家族にとっての答えを見つけていっていただければと思います。

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