住宅ローン40年・50年、延ばして大丈夫?元銀行員の考え

借入金の判断

住宅ローンといえば35年が一般的だと思っていたら、40年や50年という長期のローンもあると知り、「延ばして大丈夫なのだろうか」と迷っている方は多いのではないでしょうか。

建築費が上がり続ける中で、少しでも毎月の返済額を抑えたいという思いから、返済期間を延ばすことを検討する子育て世代も増えています。

ただ、返済期間を延ばすことには、毎月の負担が軽くなる一方で、見落としやすいデメリットもあります。

私は融資・審査を担当していた元銀行員で、現在は中小企業の融資支援にも携わる立場から、返済計画の考え方を実務として見てきました。

この記事では、40年・50年という長期の住宅ローンのメリット・デメリットを整理し、どういう人に向いているかをお伝えします。

読み終える頃には、期間の長さだけで判断するのではなく、ご自身の状況に照らして考えられるようになっているはずです。

大切なのは、返済期間の長さそのものより、その選択のメリットとデメリットを両方理解した上で決めることです。

住宅ローンの返済期間、40年・50年とは

かつては35年が主流だったが、近年は選択肢が広がっている

住宅ローンの返済期間は、これまで最長35年が一般的でしたが、2021年7月頃からは40年、さらには50年という長期の返済期間を設定できる商品も登場しています(2026年時点)。

この背景には、建築費の高騰により、希望する住宅を建てようとすると借入額が大きくなりやすく、毎月の返済額を抑えるための選択肢として、長期の返済期間が求められるようになってきたことがあります。

返済期間を延ばすと、毎月の返済額が下がる仕組み

住宅ローンは、借入額を返済期間で割るようなイメージで、毎月の返済額が決まります(実際には利息の計算も加わりますが、期間が長くなるほど1回あたりの返済額が小さくなる、という基本の考え方は同じです)。

同じ借入額であっても、35年で返すか、40年・50年で返すかによって、毎月の負担感は変わってきます。

返済期間を延ばすことは、いわば「毎月の返済額を軽くする代わりに、返済にかかる期間そのものを長くする」という選択だとイメージしていただくと分かりやすいと思います。

長期(40年・50年)ローンのメリット3選

1.毎月の返済額を抑えられる

長期の返済期間を選ぶ最大のメリットは、毎月の返済額を抑えられることです。

同じ借入額であれば、返済期間が長くなるほど、1回あたりの返済額は小さくなります。

2.家計に余裕が生まれ、教育費や貯蓄・投資に回せる

毎月の返済額が抑えられる分、その差額を教育費や生活費の変動に備えたり、貯蓄や投資に回したりする余力として活用できます。

特に、これから教育費が本格的にかかっていく子育て世代にとっては、住宅ローンの返済負担を抑えつつ、ほかの支出や将来への備えにお金を回せることは、大きな意味を持ちます。

3.建築費が高い今、無理なく返せる月々にできる選択肢

建築費が上がっている今の状況において、長期の返済期間は、無理のない毎月の返済額で住宅を持つための、一つの現実的な選択肢になり得ます。

ただし、この選択にはデメリットもあわせて存在するため、次の章で正直にお伝えします。

長期ローンの3つのデメリットも、正直にお伝えします

1.総返済額・総利息が増える

返済期間を延ばすと、毎月の返済額は軽くなりますが、その代わりに、支払う利息の総額(総利息)、そして元金と利息を合わせた総返済額は増えることになります。

簡単な例で見てみましょう。

借入金3,000万円 金利1.5%での試算

期間毎月返済額総返済額総利息
35年約9.2万円約3,858万円約858万円
40年約8.3万円約3,991万円約991万円

借入額3,000万円、金利1.5%という条件で試算した場合(2026年時点の一般的な金利水準を用いたあくまで一例で、実際の金利・条件によって数字は変わります)、35年で返済すると毎月の返済額は約9.2万円、総返済額は約3,858万円(総利息は約858万円)になります。

これが40年になると、毎月の返済額は約8.3万円に下がりますが、総返済額は約3,991万円(総利息は約991万円)となり、総利息だけで130万円以上増える計算になります。

毎月の負担が軽くなる分、支払う利息の総額は増える、という関係にあることを、まず正直に理解しておく必要があります。

2.完済時の年齢が上がる

返済期間が長くなるということは、それだけ完済する年齢も後ろにずれることを意味します。

例えば35歳で40年ローンを組んだ場合、完済は75歳になります。

定年後も返済が続く可能性があり、退職後の収入(年金など)で返済を続けられるかどうかも、あわせて考えておく必要があります。

3.借入時の年齢制限・条件は銀行によって異なる

長期の返済期間を選べるかどうかは、借入時の年齢や、完済時の年齢の上限など、銀行(ネット銀行や地方銀行など)ごとに条件が設けられています(2026年時点)。

希望する返済期間が、検討している銀行で実際に選べるかどうかは、事前に確認しておく必要があります。

どういう人に向くか・考え方

浮いた分を、貯蓄や投資に計画的に回せる人

長期の返済期間は、毎月の返済額を抑えることで生まれた余裕を、貯蓄や投資に計画的に回していける方に向いている選択肢だと考えられます。

ただ「余裕ができたから使ってしまう」のではなく、その分をどう活用するかまで考えておくことが大切です。

繰上返済(途中でまとめて返す)を視野に入れられる人

「繰上返済」とは、毎月の返済とは別に、まとまった資金を使って、ローンの残高の一部または全部を前倒しで返済することです。

将来的にまとまった資金(退職金やボーナスなど)が入る見込みがあり、その時点で繰上返済を行う計画を立てられる方であれば、長期の返済期間を選びつつ、実際の返済期間を短縮していく、という考え方も可能です。

「ただ月々が楽だから」で安易に延ばすのは避けたい

一方で、総返済額が増えるという事実を理解しないまま、「月々が楽になるから」という理由だけで安易に返済期間を延ばすのは、あまりおすすめできません。

返済期間の長さと、繰上返済の計画をあわせて考えることで、初めて長期ローンのメリットを生かせる借り方になると考えています。

元銀行員の私も、40年を視野に入れています

当初は35年で考えていましたが、今は40年も検討しています

実は私自身、注文住宅を検討する中で、当初は35年での返済を考えていましたが、今は40年を視野に入れています

建物はできるだけコンパクトにして建築費を抑える方針で進めていますが、それでも毎月の返済額を軽くするために、返済期間を延ばすことを検討しています。

月々を抑えて、投資を継続しながら、退職金で繰上返済も視野に

40年を検討している理由は、毎月の返済額を抑えた分、これまで続けてきた株式投資を継続していきたいと考えているためです。

また、今の職場に定年まで勤めた場合、退職金が入る見込みがあり、そのタイミングでまとまった繰上返済を行うことも選択肢の一つとして考えています。

金利のタイプについては、変動金利を選ぶ方向で考えています。変動金利は将来金利が上がれば返済額が増えるリスクがあり、総支払利息が増えるデメリットも理解した上での判断です。

自分の場合、転勤のない職場で今後も安定した収入が見込めると考えていることから、金利上昇のリスクをある程度取れる立場にあると判断しています。

これは、私の状況があってこその選択です

ここは特に強調しておきたいのですが、この判断は、転勤がなく安定した職にあること、投資について一定の知識と経験があること、退職金という将来の資金の見込みがあること、といった、私自身の状況があってこその選択です。

同じように40年を選んだり、変動金利を選んだりすることが、すべての方にとって適した選択とは限りません

利払総額を抑えたい人や借入金額が比較的少ない人は、35年での固定金利を選ぶ方が安心につながる場合も十分にあります。

元銀行員として、総利息が増えるデメリットも、変動金利のリスクも理解した上で、自分はこう考えて選んだ、という一つの実例として参考にしていただければと思います。

まとめ

40年・50年という長期の住宅ローンは、毎月の返済額を抑えられるという分かりやすいメリットがある一方で、総返済額・総利息が増える、完済時の年齢が上がるといったデメリットも存在します。

大切なのは、この両方をきちんと理解した上で、繰上返済の計画もあわせて考えながら、ご自身の状況に合った返済期間を選ぶことです。

私自身の判断はあくまで一つの例であり、同じ状況でない方には、また違う答えがあってよいと思っています。

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