住宅ローンを検討する中で、「返済負担率」という言葉を目にしたことがある方も、聞いたことはないけれど「手取りのうちどれくらいをローンに回していいのか」で悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
実は、この返済負担率という指標、銀行の審査では「額面年収」を基準に計算されているため、その数字をそのまま自分の生活感覚に当てはめてしまうと、思っていたより家計が苦しくなることがあります。
私は銀行で住宅ローンの審査を担当していた元銀行員で、この指標がどう使われているかを実務として見てきました。
この記事では、返済負担率とは何か、なぜ額面ではなく手取りで考えるべきか、そして無理のない目安は何%程度かを詳しく解説します。
読み終える頃には、銀行の審査基準と、ご自身の家計感覚とを分けて考えられるようになっているはずです。
数字そのものより、その数字を「誰の視点」で見るかが大切だと思っています。
返済負担率とは何か
年収に対する年間返済額の割合のこと
返済負担率とは、年収に対して、住宅ローンの年間返済額がどのくらいの割合を占めるかを示す指標です。
「返済比率」と呼ばれることもあり、同じ意味で使われています。計算式はシンプルで、「年間の返済額 ÷ 年収 × 100」で求められます。
例えば年収500万円の方が、年間125万円(月あたり約10.4万円)を返済に充てる場合、返済負担率は25%ということになります。
銀行の審査で重視される指標
この返済負担率は、住宅ローンの審査において金融機関(ネット銀行や地方銀行など)が重視する指標の一つです。
年収や他の借入状況とあわせて、「この人にいくらまで貸せるか」を判断する際の目安として使われています。
ネット上でも「返済負担率」や「返済比率」という言葉で検索すると、住宅ローンの審査に関する解説がいくつも出てくるはずです。
次の章では、この指標が実際にどのように計算されているのか、実務の視点からお伝えします。
銀行の返済負担率は「額面年収」で計算される
審査では額面年収が基準になる
住宅ローンの審査における返済負担率は、基本的に「額面年収」、つまり税金や社会保険料が引かれる前の年収を基準に計算されます。
多くの金融機関では、この額面年収に対して25〜35%程度までを上限の目安としているのが実情です(2026年8月時点)。
年収500万円であれば、年間125万〜175万円程度、月にして約10万〜14.6万円程度までが、審査上「返済に回せる」と判断される範囲になります。
「貸せる」と判断していた実務の実感
私が審査の現場にいた頃も、この額面ベースの返済負担率をもとに「このくらいまでなら貸せます」とお伝えする場面が多くありました。
基準を満たしていれば、審査上は問題なく通ることがほとんどです。
ただ、この数字はあくまで「銀行が貸してよいと判断する基準」であり、借りる側が実際に無理なく返していける金額とは、必ずしも一致しません。
次の章で、この点を詳しくお伝えします。
でも、実際は「手取り」で考えるべき
返済するのは、手取り収入からです
ここが、この記事で一番お伝えしたいことです。
銀行の審査は額面年収を基準にしていますが、実際に毎月の返済を行うのは、税金や社会保険料が引かれたあとの「手取り収入」からです。
額面と手取りの間には、決して小さくない差があります。
私自身の実例:額面と手取りで100万円の差
私自身、額面年収は500万円ですが、手取りは400万円ほどです。
額面と手取りの間には、100万円ほどの差が生まれています。
この差を踏まえずに、額面ベースの返済負担率だけを見て借入額を決めてしまうと、審査には通っても、実際の生活では想定より返済が重く感じられることがあります。
同じ「25%」でも、意味がまったく違う
例えば、年間返済額が125万円だったとします。
これは額面年収500万円に対しては25%ですが、手取り年収400万円に対して計算すると、31.25%になります。
同じ「返済額」であっても、どちらの年収を基準に見るかで、家計に占める重みはまったく違って見えてくるのです。
| 基準 | 年収 | 年間返済額(例) | 返済負担率 |
|---|---|---|---|
| 額面年収ベース | 500万円 | 125万円 | 25% |
| 手取り年収ベース | 400万円 | 125万円 | 31.25% |
額面で見れば「余裕がある」と感じる数字も、手取りで見直すと印象が変わることが、この表からも分かるのではないでしょうか。
次の章では、手取りをベースにした場合、どのくらいの割合を一つの目安として考えればよいかをお伝えします。
手取りベースでの目安の考え方
元銀行員としての一つの目安
手取りをベースに考える場合、私であれば、手取りの20〜25%程度(2026年8月時点)までに抑えると、比較的無理が少ないという印象を持っています。
これはあくまで一つの考え方であり、絶対的な基準ではありませんが、額面ベースの25〜35%という審査上の目安よりも、やや低めに設定しておくと、家計にゆとりを持たせやすくなります。
子育て世代はさらに慎重に
これから教育費が本格的にかかっていく子育て世代の場合、返済負担率の計算には含まれていない支出が、今後どんどん増えていく見込みがあります。
そのため、手取りの20〜25%という目安の中でも、上限に近い数字ではなく、下限に近い割合を意識しておくと、将来の家計変化にも対応しやすくなります。
「毎月いくらまで返せるか」から逆算する
割合で考えるのが難しい場合は、「毎月の手取りから、いくらまでなら無理なく返済に回せるか」を、現在の家賃や貯蓄ペースをもとに具体的な金額で考えてみる方法もおすすめです。
そこから逆算して年間の返済額を出し、返済負担率に置き換えてみると、割合だけで考えていたときとは違う実感が得られることがあります。
元銀行員の私も、この数字と向き合っています
額面では通った審査、手取りで考え直すと
私自身、額面年収500万円・手取り年収400万円という立場で、実際に住宅ローンを検討しています。
額面ベースの返済負担率で見れば、事前審査は問題なく通りました。
ただ、手取りベースで自分の返済負担率を計算し直してみると、「本当にこれで無理なく暮らしていけるだろうか」と、正直まだ悩んでいる部分があります。
仕組みを理解している元銀行員の立場であっても、いざ自分ごととして数字と向き合うと、慎重にならざるを得ない、というのが率直なところです。
まとめ
返済負担率は、手取り収入の25%以内にする
返済負担率は、住宅ローンの借入額を考えるうえで大切な指標ですが、銀行の審査で使われる数字は「額面年収」を基準にしたものだという点を押さえておく必要があります。
実際に返済していくのは手取り収入からです。額面の数字をそのまま鵜呑みにせず、手取りをベースに、ご自身にとって無理のない返済負担率を考えてみていただければと思います。





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