住宅ローンを組むとき、「ボーナス払いを使うべきかどうか」で迷う方は多いのではないでしょうか。
毎月の返済額を抑えられるという理由で、なんとなく当たり前のように使われているボーナス払いですが、実は少し立ち止まって考えたほうがよい仕組みでもあります。
というのも、私は銀行で個人向けの住宅ローンだけでなく、会社が事業資金を借りる「事業性融資」の審査にも携わってきましたが、そちらの世界には基本的に「ボーナス払い」という発想自体が存在しないからです。
この記事では、ボーナス払いの一般的なメリット・デメリットに加えて、事業融資の原則という、あまり語られることのない視点から、ボーナス払いをどう考えるべきかをお伝えします。
読み終える頃には、ボーナス払いを使うかどうかを、雰囲気ではなくご自身の基準で判断できるようになるはずです。
結論から言うと、私は基本的にボーナス払いには頼らない方がよいと考えています。
そもそもボーナス払いとは
返済の一部をボーナス月にまとめて上乗せする仕組み
住宅ローンのボーナス払いとは、毎月の返済に加えて、年2回のボーナス月に、あらかじめ決めた金額を上乗せして返済する仕組みのことです。
例えば、月々の返済額を抑える代わりに、6月と12月など、ボーナスが支給されるタイミングでまとまった金額を返済する、という組み方になります。
毎月の返済額を抑えられる分、一見魅力的に見える
この仕組みの分かりやすいメリットは、毎月の返済額が軽くなることです。
同じ借入額でも、ボーナス払いを併用すれば、月々の家計への負担を抑えて見せることができます。そのため、住宅ローンを組む際に、審査に通りやすくなる、あるいは希望する物件の予算に届きやすくなる、という理由で選ばれることも少なくありません。
ただ、この「毎月の負担が軽く見える」という点こそ、注意しておきたいポイントでもあります。次の章では、ボーナス払いに一般的に指摘されているデメリットを見ていきます。
ボーナス払いの一般的なデメリット
ボーナスは、必ずしも約束された収入ではない
ボーナスは、会社の業績や景気の状況によって、減額されたり、支給されなかったりすることがあります。特に、住宅ローンは20年、30年、あるいは35年といった長期にわたって返済が続くものです。
その間、勤務先の業績が常に安定している保証はどこにもありません。ボーナス払いは、この「先の読めない収入」を前提に返済計画を組むことになる、という点が一つ目の懸念です。
ボーナス月の返済負担が大きくなる
ボーナス払いを設定すると、ボーナス月だけ返済額が大きく跳ね上がります。
ボーナスを他の用途(教育費の一時的な支出や、家電の買い替え、旅行など)にも使いたい場合、返済分を差し引いた残りで賄う必要があり、ボーナス月の家計にしわ寄せが集中しやすくなります。
長期間にわたって、ボーナス頼みの返済が続く
35年など長期のローンを組む場合、その全期間にわたってボーナス払い分の返済が組み込まれ続けます。
転職や独立、勤務先の制度変更など、将来的にボーナスの仕組みそのものが変わる可能性も踏まえると、長期間「ボーナスが出ること」を返済計画の前提にし続けるのは、一つのリスクとして考えておく必要があります。
事業性融資には、そもそも「ボーナス払い」がない
会社が銀行からお金を借りるとき、返済は毎月一定額が原則
ここからは、この記事で一番お伝えしたいことです。
私は住宅ローンだけでなく、会社が事業資金を銀行から借りる「事業性融資」の審査や、融資後の経営支援にも携わってきました。
事業性の長期融資の世界では、返済は毎月一定額で行うのが原則であり、「ボーナス払い」という発想自体が基本的に存在しません。
返済は、安定したキャッシュフローから行うのが大原則
なぜ事業性の長期融資にボーナス払いという概念がないかというと、融資の返済は、会社の日々の事業活動から生まれる、安定したキャッシュフロー(毎月のお金の流れ)をもとに計画するのが大原則だからです。
長期間におよぶ融資では、「今後、大口の受注が入る見込みがあるので、その時にまとめて返済します」といった、不確実な一時的収入をあてにした返済計画は、融資の審査においてそもそも健全なものとはみなされません。
金融機関(ネット銀行や地方銀行など)が事業融資を審査する際も、原理原則は「毎月安定して返せるかどうか」です。
元銀行員・経営指導員としての実感
銀行で融資を担当していた頃も、また現在、中小企業の経営者の方々の融資や資金繰りに関わる中でも、「毎月、無理なく返せる金額かどうか」が常に判断の中心にありました。
事業の世界では当たり前とされているこの原則からすると、個人の住宅ローンにおいてボーナス払いが当たり前のように使われている状況は、実はやや例外的なことのように見えます。
この視点を知ると、ボーナス払いに対する見方が少し変わるのではないでしょうか。
だから、ボーナス払いに頼らない借り方を
毎月返済だけで成り立つ借入額が、身の丈に合った借入
事業融資の原則を踏まえると、住宅ローンにおいても、ボーナス払いに頼らず、毎月の返済だけで無理なく成り立つ借入額こそが、本来の意味での「身の丈に合った借入」だと私は考えています。
ボーナス払いを前提に借入額を大きくするのではなく、毎月の手取り収入の中で無理なく返していける金額を基準に考えることをおすすめします。
ボーナスは、返済の前提ではなく「余力」として
ボーナスそのものを否定しているわけではありません。
ボーナスは、返済計画の前提として組み込むのではなく、繰上返済に充てたり、貯蓄や教育費の備えに回したりする「余力」として位置づける方が、家計として健全だと考えています。
ボーナスが出た年はその分を前向きに活用し、出なかった年でも返済計画そのものは揺らがない、という状態を目指す方が、長期的な安心につながります。
元銀行員の私も、ボーナス払いは使わないつもりです
事業融資の原則を知っているからこそ
実は私自身、住宅ローンを検討する中で、ボーナス払いは使わないつもりでいます。
額面年収500万円・手取り年収400万円という自分の状況で、およそ3,500万円の借入を検討していますが、事業融資の世界で「毎月一定額の返済が原則」という考え方を見てきたからこそ、自分の住宅ローンも、毎月の返済だけで成り立つ範囲に収めたいと考えています。
不確実なものを返済の前提にしたくない
もともと私は、節約や投資でコツコツ資産形成をしてきた人間で、確実とは言えないものをあてにする借り方には、正直あまり気が進みません。
ボーナスが出ることを前提に借入額を膨らませるのではなく、ボーナスがなかったとしても毎月きちんと返していける範囲で、住宅ローンを組みたいと考えています。
まとめ
ボーナス払いは、毎月の返済負担を軽く見せてくれる仕組みですが、その分、先の読めないボーナスに返済計画の一部を委ねることにもなります。
事業融資の世界では、返済は毎月一定額で行うのが原則であり、不確実な一時金をあてにした返済計画はそもそも組みません。
この視点を住宅ローンにも持ち込み、ボーナス払いに頼らず、毎月の返済だけで無理なく成り立つ借入額を基準に考えてみることをおすすめします。






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